
古来より中東の人々を支えてきた生命力あふれるデーツとは
デーツは、中東原産の「ナツメヤシ」の実です。
ペルシャ原産の常緑高木で、木の高さは20メートル程、5年目ぐらいから樹齢150年くらいまで果実をつけ、1本の木から約15,000個(約150kg)ものデーツが収穫できます。
その歴史は古く、メソポタミア地域では、紀元前4000年頃から栽培されていた事を示す考古学的証拠が存在するそうです。
コーランには、「デーツは神の恵みの果実」とされ、旧約聖書のエデンの園の物語に出てくる果実もデーツであると言われています。
また、イスラーム教の予言者ムハマンドは、ナツメヤシを常食したとされます。
特にアジュワー種を好んだとされており、以下の様な言葉を残しております。
「ナツメヤシは病を追いやる」「朝7粒のアジュワーを食べる者は、その日いかなる毒や魔術にも侵されないであろう」と。
古来よりナツメヤシは、中東の人々の心と生活に根ざしております。
「生命の木」と呼ばれるデーツの魅力と栄養成分
デーツは、砂漠の過酷な環境でも育つことができる、その生命力の強さから「生命の木」と呼ばれており、ビタミン、ミネラル、食物繊維等が豊富で、栄養価が高く、農薬を使わない自然栽培が多いため、とても注目されている食材です。
デーツの主成分を他の食材と比較すると、鉄分は、ほうれん草の(ゆでたもの)に匹敵、カリウムは、バナナの1.5倍、マグネシウムは、プルーンの1.5倍、食物繊維は、プルーンに匹敵、カルシウムは、プルーンの1.8倍です。
また、70%は、炭水化物(ブドウ糖と果糖)のため、素早くエネルギー源となります。
デーツ | プルーン | レーズン | いちじく | ほうれん草 | バナナ | 牛乳 | |
エネルギー(kcal) | 266 | 235 | 301 | 292 | 25 | 86 | 67 |
たんぱく質(g) | 2.2 | 2.5 | 2.7 | 4 | 2.6 | 1.1 | 3.3 |
脂質(g) | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.6 | 0.5 | 0.2 | 3.8 |
炭水化物(g) | 71.3 | 62.4 | 80.7 | 76.1 | 4 | 22.5 | 4.8 |
ナトリウム(mg) | 0 | 1 | 12 | 9 | 10 | 0 | 41 |
カリウム(mg) | 550 | 480 | 740 | 840 | 490 | 360 | 150 |
カルシウム(mg) | 71 | 39 | 65 | 130 | 69 | 6 | 110 |
マグネシウム(mg) | 60 | 40 | 31 | 62 | 40 | 32 | 10 |
鉄分(mg) | 0.8 | 1 | 2.3 | 1.4 | 0.9 | 0.3 | 0 |
ビタミンB1(mg) | 0.07 | 0.07 | 0.12 | 0.05 | 0.05 | 0.05 | 0.04 |
ビタミンB2(mg) | 0.04 | 0.07 | 0.03 | 0.05 | 0.11 | 0.04 | 0.15 |
ナイアシン(mg) | 1.8 | 2.2 | 0.6 | 1 | 0.3 | 0.7 | 0.1 |
葉酸(mcg) | 19 | 3 | 9 | 11 | 110 | 26 | 5 |
食物繊維 | 7 | 7.2 | 4.1 | 10.9 | 3.6 | 1.1 | 0 |
※出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)「デーツのおはなし」
(元データ:「五訂増補日本食品標準成分表」より)
ただ美味しいだけじゃないデーツの恩恵
天然のキャンディと言われる甘くて美味しいデーツには、嬉しいことがいっぱいあります。ロースイーツ作りでは、甘味料や結合材として使われますが、ただ甘いだけでなく、栄養も摂取できます。
ハーブティーや紅茶ととても良く合います☆
(1)整腸作用
デーツに含まれるマグネシウムには、体内の水分量を調整し、整腸作用を促します。
また、ペクチンという食物繊維により、便秘の解消や美肌効果が期待されています。
(2)貧血に
貧血は、鉄分の不足が原因だと言われております。
デーツには、鉄分が多く含まれております。
(3)ダイエットに
デーツに豊富に含まれる、ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変換し、ビタミンB2は、脂質を代謝する働きを持ちます。
その他、生活習慣病予防、免疫力アップ、アルコールの分解、抗酸化作用等があると言われております。
世界のデーツ生産量と日本への輸入
世界のデーツ生産量は、エジプト、イラン、サウジアラビアの順に多く、アメリカ産は、20番目となります。
日本のデーツ輸入量は、イラン産が、71.1%、パキスタン産が22%と大半を占め、アメリカ産はわずか2%です。(※デーツのおはなしより:JETRO)
ロースイーツで一番よく使うのは、大きくて甘く、程よく水分のあるアメリカ産マジョールデーツが一般的ですが、デーツの本場は中東です。
次は、イラン産、サウジアラビア産、アメリカ産の「12種のデーツ食べ比べレポート」をご紹介させていただきます。